バガボンドの11巻で武蔵が柳生石舟斎のもとに飛び込んでいくんだけど、
武蔵はその石舟斎の器の大きさに圧倒される。
僕はこのシーンが結構好きだ。
石舟斎は無防備な状態で寝ているんだけど、
その横たわっている傍らで刀を持った武蔵が対峙する。
石舟斎はあまりにも偉大な存在であるがゆえに、
武蔵は結構なプレッシャーを感じる。
今すぐ刀を振り下ろせば殺せる・・・。
何故寝てる?
何を考えているんだ?
寝たふりをしてすきをつくつもりだろうか?
武蔵の中の想像だけが膨れ上がって
ますます焦りをもたらす。
石舟斎は孫の手を持っているんだけど、
これを放り投げた瞬間、
一気に武蔵の注意を奪い、
今度はこちらから行くぞと言って刀を手にする。
それに驚いた武蔵は後ろのふすままで後ずさり、
汗びっしょりになって畳の上に両手をついてしまう。
そして、
「柳生石舟斎殿の大きさは俺にはまだ計れませんでした」
と言って降参してしまうんだ。
石舟斎は大して何もしていない。
孫の手を投げて、横に置いていた刀を手にしただけだ。
それだけで終わってしまった。
自分よりも大きな存在という先入観があって、
何を考えているのか把握できない。
予測できない状況に立たされた末の敗北なんだと思う。
スポーツなんかの世界でもあるだろうね。
強い相手と分かっている上での対戦で、
プレッシャーだけで押しつぶされて普段の実力を発揮できずに敗れるなんてこと。
(*´∀`*)ノ
面白いなぁ、人間て。